今月の1枚
Title
マレー諸島からの旅人
撮影:Y・I / 寄稿:Y・T
撮影場所:㈱フジキカイ THE BASE MINO 美濃市 岐阜県
今月の一枚は、新緑の桜の木の枝にちょこんと留まった鳥の写真です。
ぱっちりとした黄色い瞳に、茶色い羽毛でぷっくりとしたフォルム、お腹には縦の白い模様。
この鳥はアオバズクという小型のフクロウの仲間です。アオバズクは夜行性で、昼間は写真のように木の枝でじっと休んでいます。
この写真は、実は弊社フジキカイの美濃工場であるTHE BASE MINOの敷地内で見かけるようになったアオバズクを撮影したものです。
以前、2月の「今月の一枚」では、夏はロシアで繁殖し、冬は越冬のために日本へやって来る渡り鳥の白鳥をご紹介しました。
一方、このアオバズクは、冬をフィリピンやマレーシア、インドネシアなどのマレー諸島で過ごし、暖かくなると沖縄などの島々を経由して、繁殖のため日本へやって来る渡り鳥です。日本に生息する多くの大型のフクロウは一年中日本で過ごす留鳥ですが、アオバズクなど一部のコノハズク類の小型のフクロウは渡りを行い、日本で子育てをします。
子育ての場所として日本を選んでくれているのには、日本の夏に大きな魅力があるからです。
大型のフクロウはネズミやカエルなどの小動物を主食としますが、アオバズクは主に昆虫を食べます。
皆さんも子どもの頃、夏休みに山や近所の雑木林へ虫取りに出かけた思い出があるのではないでしょうか。
日本の夏は虫取りをするのに大変適した環境で昆虫が非常に豊富です。冬を土の中などで越した昆虫たちは、梅雨の雨の恵みを受けて成長し、高温多湿の夏になると、まるで示し合わせたかのように一斉に姿を現します。
木で大合唱するセミ、夜の街灯に集まる大きなガなどの羽虫、樹液の出る木に集まるカブトムシやクワガタ、コガネムシなど、アオバズクにとっては、ごちそうが並ぶレストランのような環境です。
また、アオバズクは古木の樹洞(木の穴)を巣として利用する鳥です。日本では神社や寺、里山に古い森が多く残されていることも、日本で子育てをする理由の一つだと考えられています。弊社工場のある美濃市は、長良川流域の豊かな自然に恵まれ、古い森や里山も多く残されているため、アオバズクが子育てをする条件がそろっています。
渡り鳥は地球の磁場や地形、太陽や星の位置などを手がかりに、ある程度の緯度や経度を把握している可能性があると考えられています。
気に入った子育ての場所があれば覚えていて、翌年も海を越え同じ森や林へ帰ってくるそうです。
弊社工場のある美濃の自然環境を気に入ってくれたアオバズクが、来年もまた帰って来てくれるように、里山の環境を大切にしながら、そっと子育てを見守っていきたいと思います。