今月の1枚
Title
サハリンからの旅人
撮影:Y・T / 寄稿:Y・T
撮影場所:大堤公園・新堤 北上市 岩手県
今月の一枚は氷の張った湖に集う渡り鳥たちの写真です。
ここは東北のとある湖。氷点下の寒さの中、雪が降っていましたが渡り鳥たちは元気に過ごしていました。
以前、10月の「今月の一枚」で、冬に日本へ飛来する渡り鳥・白鳥は環境の変化などにより個体数が減少し越冬地が北上傾向にあると寄稿しました。
それでは、冬に北国を訪れれば白鳥に出会えるのではないか──そう思い、冬の東北を旅しました。
訪れた湖は白鳥飛来地として知られる場所です。そこには、想像以上に多くのオオハクチョウの姿がありました。
湖畔では、今まさに飛び立とうとしているオナガガモや、湖面でのんびりと過ごすホシハジロの姿も見られました。
彼らはいずれも、ロシアなど北の国々から越冬のためにやってきた渡り鳥です。
この日、新堤周辺には約80羽のオオハクチョウが群れを作っており、その中には灰色の産毛が残る子どもの白鳥も4羽いました(写真奥に少し写っています)。
遠く離れた国から海を渡ってきたのだと思うと、思わず足を止めて見入ってしまいます。
そんな中、一羽の白鳥の首に緑色のタグが付いていることに気づきました。
これは「SC」と記されたカラーマーキングで、ロシアと日本の研究機関が行っている国際共同調査の一環です。個体識別を行い、渡りのルートや生態を解明するために実施されています。
調べてみると、この白鳥はロシア極東・サハリン系の水域で生まれ、そこでタグ付けされた個体であることが分かりました。
オオハクチョウは、夏は天敵の少ない北の国で繁殖し、冬は餌の豊富な日本等で越冬します。
人間も飛行機を使って国境を越えますが、渡り鳥の中には、北極と南極を一年のうちに行き来するキョクアジサシのような鳥もいます。
今回の旅で渡り鳥たちと出会い、空や海は国境を越えてつながっているのだと、改めて実感しました。
ロシア、日本、そして世界各地で暮らす私たち一人ひとりの生活や行動の先に、今日の環境問題や未来がつながっている──そんなことを、この旅の空の下で考えさせられました。