静岡県浜松市に本社を置く老舗のお菓子メーカー。
主力商品は、浜松土産の定番品として全国的にも有名な「うなぎパイ」。サクサクした食感と甘くて香ばしい味わいが特徴で、
「うなぎパイ ミニ」や「うなぎパイV.S.O.P.」、「うなぎパイナッツ入り」などのシリーズも人気です。
このほか、和洋菓子商品も魅力的で老若男女を問わず、皆様から愛され続ける商品をたくさん取り扱っています。
直営店は浜松市内に7店舗(2018年4月時点)。「うなぎパイ」の製造工程が見学できる「うなぎパイファクトリー」や提案型のスイーツ・コミュニティ「nicoe」などの施設も展開しています。
一番の決め手は信頼感です。
2014年に竣工した浜北工場では、完全自動化した専用のラインで「うなぎパイミニ」を製造しています。
全自動化に踏み切ったのは、生産効率をアップさせるため。より衛生的な環境を確保したいという考えもありました。
いずれにしろ当社にとっては、社運のかかった大プロジェクト。失敗が許されない状況の中、フジキカイ様にお願いすることになった一番の決め手は信頼感です。私が入社したのはかれこれ30年ほど前になりますが、その頃にはすでにお付き合いがあるなど当社とのつながりは深く、「うなぎパイ」の商品特性もよく理解していただいています。
設計力と技術力に優れ、私どもの求める包装機械を提供してくれる上、アフターサービスがしっかりとしている信頼のおける会社ということで選ばせていただきました。
高い技術力で クライアントのニーズに応える
菓子職人が1枚1枚丁寧に手作業で作り上げる「うなぎパイ」は、割れやすいデリケートな商品。製造・包装ラインの全自動化にあたっては、いかに「うなぎパイミニ」を割らずに運ぶことができるのかが課題となっていました。
その課題を解決に導いたのが、フジキカイの高い技術力です。「うなぎパイ」に対し、安定したキャッチングと精度の高い移載を実現するための特殊な機械を開発、何度もテストを重ね、クライアントも納得の行くシステムを構築しました。
引き合い
新工場でのうなぎパイミニ包装ライン新規導入の引き合い発生
概要ヒアリング
ご要望を伺い、仕様検討を開始
ロボット
供給テスト
当社工場にて、うなぎパイミニのロボット供給をお客様確認
概算見積
仕様確認を重ね、概算見積、ラインレイアウトを提示
最終見積
最終見積、ラインレイアウト、提案書を提示
ご注文
ご注文頂き、機械製作スタート
機械製作
詳細仕様を打合せながら機械製作
出荷前立会い
完成機械を、当社工場にてお客様確認
納品
新工場にうなぎパイミニ包装ライン設置
新工場稼動
新工場稼働にあわせ、うなぎパイミニ製造包装ライン稼動
製造工場の老朽化
「うなぎパイ」関連商品の売上が順調に推移しているものの、旧製造工場は手狭な上、老朽化も進行。容易に増産体制に入ることができないため、製造体制の見直しは喫緊の課題のひとつでした。
高くない生産効率
「うなぎパイ」は割れやすいため、包装は人の手を介して行っていました。包装業務にかかる人員は、包装機1台につき1人。生産効率が高いとは決して言えない状況にありました。
衛生レベルを向上させる
安全で安心な商品を提供することは、食品を扱う会社にとっての基本事項。製造工場内を常に清潔に保ち、衛生面の向上を図ることは、食品メーカーが取り組み続けなければならない課題です。
春華堂様より、新工場建設計画のお話をうかがったのは2013年のこと。「うなぎパイミニ」の包装ラインの新規導入の引き合いをいただきました。全て自動化とする新ラインを導入するお考えでしたが、「うなぎパイミニ」を人の手ではなくロボットで割ることなく供給できるかどうかが大きなポイントとなりました。
試行錯誤の末、「うなぎパイミニ」を確実にハンドリングすることができるロボットを開発。何度もテストの場を設け、実際にロボットで「うなぎパイミニ」を運ぶ様子を春華堂ご担当者様にも見ていただきながら改良を加え、クライアントのニーズにマッチしたロボットを供給しました。
個装した製品を10個まとめて一括包装する際の数の検査、箱詰め作業など、新ライン導入前はそれぞれ人の手で行っていました。新ライン導入後は、これらの作業がすべて自動化され、生産効率が上がることになりました。
中でも、技術的に工夫をしたのが一括包装の入数検知。入れ間違いによるクレームの発生などを確実になくしたいとの強い要望がありました。これまでは目視などに頼っていましたが、一括包装供給コンベア上に検査カメラを設置するシンプルなシステムを構築。確実に検査ができる体制を整えました。
春華堂様の強くこだわっていらっしゃるのが品質。常々、「安全で安心なお菓子を作りたい」という声を耳にしていましたし、生産が終わった後は必ず時間をかけて徹底的に清掃されていることも知っていました。そこで新ライン導入にあたり、われわれ機械メーカーにも何か貢献できることがあるのではないかと考え、清掃面に配慮することにしました。
具体的には、清掃作業がしやすいようスペースを設けたり、部品を外しやすいようにしたりしました。これによって、清掃作業が楽になり、時間を短縮できればいいと考えました。
新工場の稼働にあたって一番不安だったのが、全自動化によって「うなぎパイミニ」が安定したハンドリングができるかどうかということでしたが、ロボットはこちらの思っていた通りの仕事をしてくれています。非常に優秀な設計内容だったのではないでしょうか。今後はより安定的な商品の提供が可能になると思います。全自動化によって、さまざまな効果がもたらされました。一番大きいのは生産性の向上です。人が介する部分を省くことで、どうしても発生してしまうヒューマンエラーなどを防止。その結果、商品ロスは半減しました。大久保工場と比べて40%も生産性がアップしています。パッケージの仕上がりもきれいになり、お客様に対しても胸を張って商品をお届けできる包装ラインだと思っています。
また、製造を統括する立場としては衛生面が大幅に向上したことも新工場がもたらした大きな効果だと考えています。「うなぎパイ」は衛生的に優れた環境で作られている商品なので、お客様には安心して味わっていただければ、こんなにうれしいことはありません。
省人化
最新鋭の機械を導入した新工場の誕生で、省人化に成功。ヒューマンエラーなどがなくなり、商品の安定供給につながりました。また、パッケージの仕上がりも向上しています。
生産性が向上
生産効率の面で課題のあった大久保工場と比べて、ライン停止や商品ロスが少なくなり、生産性がおよそ40%向上しました。また、生産量が増え、売上増にも結び付いています。
清掃時間の短縮
ライン全体のサニタリー性がアップ。清掃時間は目標値の約40%短縮が実現できました。これによって工場内の衛生面も向上し、より安全・安心な商品の提供が可能となりました。
新工場が稼働して3年。生産性の向上など、様々なプラスの効果がもたらされています。社員の士気にも大きく影響しています。フジキカイ様の最先端の機械を扱えることは、社員にとってもうれしい話。みんなが、より高いプライドを持って仕事に取り組むようになりました。
浜北工場では、「うなぎパイミニ」のほか、和菓子や洋菓子も生産しています。そちらの売上も伸びてきているので、今後は「うなぎパイ」だけではなく、和菓子や洋菓子の包装もできる万能の機械を導入できればと考えています。その際も、フジキカイ様と相談させていただき、さらに胸を張って誇れる素晴らしいラインができればと考えています。
お客様の期待に応え続けたい
春華堂様は品質や商品の作り方などへのこだわりが強く、「うなぎパイ」も一つひとつ職人さんが手作りで作ったものを焼き上げて包装しています。機械のトラブルで商品を一つダメにしてしまうことは、職人さんが作ったものをダメにしてしまうことなので、そういったことがないよう機械メーカーとしてできるだけのことをやりました。
新工場で、焼きあがったうなぎパイミニが、箱詰めされるまでノンストップで、トラブルなく流れる光景を見た時に、大きな安心感と共に、「やり遂げた」という思いが強く湧き上がりました。
これからも春華堂様のニーズをしっかりお伺いし、期待以上の製品を納めたいですし、アフターフォローを充実させて今後も末永く良好な関係を築いていけたらと思います。